2012年4月21日土曜日

モロッコ旅 ワルザザードからカスバ街道へ



果てしなく続く礫砂漠。
轟々と砂埃をあげながら走る車の窓から誰かの影を見つけた。
一体この荒野をどこからどこまで歩いてゆくのだろう。
次の町までは、まだ、まだ、遠い。

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旅の三日目。
緑の多い沿岸部から4000m級のアトラス山脈を越えると
景色は一気に変化した。
広大な大地と赤く乾燥した地球の肌が露出し水の気配が失われる。

サハラへの入口であるワルザザードからカスバ街道へとルートをとり
乾燥地帯をひた走ると町と町の間には何もない事に気付く。
岩が崩れてできた礫砂漠が果てしなく広がり
ドライバーはアクセルを踏み続けそしてやっと次の町へと到着する。
その距離の果てしなさ。

ところが何もないように見える荒野にも突如として人影が現れる。
一体どこから歩いてきてどこへ向かうのか。

私たちはそれぞれの「ものさし」を携えそれぞれの世界を生きている。
私には果てしない距離でも彼らにはごくごく自然な距離で
まさに日常そのものなのだろう。

車で通り過ぎるだけの旅人たち。
でも貪欲な心は、もっと知りたい、世界中の尺度を自分の中に感じたい、
いつでも「ものさし」を持ち替え自然にその国に溶け込みたいと思う。
旅には頭と心を柔らかくするそんな面白さがあり
いつも旅に出たくて疼々しているのかもしれない。

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